この世界にもハロウィンがある。
宗教がほぼないこの世界にも異世界からの転移者が広めたハロウィンがあるみたい。

ただ何年かまたは何十年に一度キメラ座とジャバウォック座が混じる周期が観測される年にだけ3日間に渡り開催される。この数十年研究ばかりで色々とあった私にとっては初めてのイベントだ。

おにいちゃんは一度だけ参加したことあるみたい。

（くそ…その時ラブコメとかしてねえよな…。）

明日はハロウィンで街もこのシーズンはお祭りみたいにカボチャと茶系統の色で染められている。
現代のハロウィンとなんら遜色は無いように見えるしみんな楽しそう！

「おにいちゃん、やっぱりトリックオアトリート！って子供が言いながらお菓子を貰いにいくんだよね？」

「いやここでは死者を思い出しカボチャに蝋燭を立て川に流す…」

「それ灯籠流しでは…」

「あと大人が仮装してトリックオアトリート！！って叫びながら子供を襲う演技するんだ。子供たちは全員ローブを着て仮装した大人にカボチャの種を魔科学銃で撃ち菓子をドロップさせ魔を払うイベントなんだ。」

（ん？）

「おにいちゃんなんか物騒…。それに節分まじってない？」

「永い時間をかけ今の形になったらしいけど、どう考えても色んな要素が混じり色々と物騒だ…」

街の子供はカボチャの種を発射する銃のメンテンナンスにいそしんでいる。
銃のフォルムが物騒なのだ…。何故かみんなガチなメンテと何かを討伐するような恰好してるの…？そうメ〇ルギアソ〇ッドを少し魔科学風にした感じ…。

なんか想像と違うんだけど…。広場に子供があつまってる。子供たち2000人くらいかな…。

厳ついおじさんが壇上にいる…。恰好はスネ〇クかな…

「聞け！子供達よ！！ハロウィンなんぞすぐに終わる！」

​

いやジ〇ンとハル〇マン軍曹だな…。

「お前らは汚ねえドブネズミだ！！お前らのお菓子は誰によって与えられている！！」
「「保護者です（親です）（お母さんです）！！」」
「お前らは●×％＄●だ！！お前らは奴らに生かされているし、お菓子があるのも奴らのおかげだ！だが明日からお前らはお菓子抜きだ！！いいな！！」
「「いやです！！」」
「お前えらは卑しい子供だ！！大人はいつまでもお前らに何かを与えるとは限らないし先に死んじまうし、今日の灯籠瓜流しで死者が連れていっちまうかもしれねえ」
「「いやです！！」」
「お前えらはわがまま子供だ！！どうするんだ！お前らは大人が死んじまうのを黙ってみているのか？」
「「いやです！！」」
「お前えらは弱い子供だ！！どうするんだ！ヤツラが大人に憑依してそのままあの世に連れてっちまうぞ！？」
「「いやです！！」」
「じゃあどうするんだ！お前らにできることはなんだ！！？お前！いってみろ！」
「イエスボス！俺に出来ることは…ヤツラに向けてこの引き金を弾くことです！！」
「そうだ！お前らに出来るのは引き金を弾くことだけだ！魔科学による攻撃もありだ！！それが出来ねえ奴は引き金を弾け！お菓子と自分の未来は自分で勝ち取れ！！」
「「YES,Sir!!!!!!!」」

え

「おにいちゃん、これ大丈夫…？」

今日から大人と子供が引き離されて子供たち一夜を過ごし明後日の決戦へ備えるのだ…。
いや大人も混じってるけど…。なにこれ…。

「アーニアは初めてだから今回は子供がいっぱいいる方ね、初めての人はこっちだから」

「え？え？じゃあ今日はわたしお兄ちゃんと離れるの…？え、ちょっと待っ…」

おにいちゃんがさっといなくなり。
厳ついジ〇ンが割り込むように続けた。

「今日は我らが女神！！アーニア様が我らを先導してくれる！！！」
会場の子供たちが湧く！！

「おねえちゃん！！よろしくね！」「アーニア様！！よろしくね～！」「あーにあちゃーん！！！」
子供達の目がキラキラしている…

「絶対、勝てるぜ！」「うん、おねえちゃんが入れば絶対大丈夫だよ」「そこらの大人が束になっても勝てねえんだぜ」

歓喜する子供にジ〇ン（CVわか〇と）が割り込む…。

「よぉ～ろこぶぅのはまーだーはやい！！！！ヤツラ側にはなんとーぉ、我が国の王、ノールゥゥ様がああっ…いる…！！」

「「……」」

静寂が広がり、輝いていたみんなの目が白黒になっている。
そりゃそうだ…ガチの抗争ムードに世界最強と思われるおにいちゃんがいたら…。

「ノルにいちゃんがいようとかんけえねえ！」「そうだそうだ！」

「それでいい！だぁが～、まぁだだ！！ヤ～ツラがっわにぃは～、ゲストで月詠令様が～あ、くーわわる…」

「え、レイちゃん来てるの…？え？なにそれは…」

レイちゃん人気だけど強くて有名だからみんなまた黙っちゃうじゃん…。

「「うぉー！！！！！！」」「キャー！！！レイ様が来てらっちゃるの？？」「僕これが終わったらレイ様にサインもらうんだ…」

あ、一人死亡確定だ…。みんなヤル気無くすのかと思ったけどレイちゃん凄い人気ね。

レイちゃんは私の高校の時からの親友でルナリース自治国の代表様だ。
なにやってんのレイちゃん…。私一言も聞いてないよ…。ラブコメフラグたたないよね…。たってないよね…？

私がしかめっ面をしてると何かに気付いた厳ついおじさんが焦った様にこっちをチラっとみて言った。

「つーくよみ様は～ぁ、サープライズ～でぇあーる！！！！」

ドッと歓声が湧く。なんのフォローにもなってねえ…。

それは私にとって長い長い3日間の始まりだった。